• 2019.12.23

    日本民藝館

    寒さ厳しくも冬晴れのこの日、駒場東大前駅ちかくにある『日本民藝館』へ行ってきました。

    木造2階建瓦葺きの蔵造り風建築の日本民藝館は、一向に衰えない和の趣きを携え、その場に構えていました。

    日本民藝館は、1926年に思想家の柳宗悦(1889~1961)らにより企画され、多くの賛同者の援助を得て、1936年に開設されました。

    そして、民藝品のもつ「用の美」、「無心の美」、「健康の美」を理想に掲げ、日本民藝館を拠点として自らの新しい表現の道を拓いていきました。

    民藝館の重厚な引き戸を開けると、正面に左右に伸びる二つの階段が目に入ります。
    思わず上を向いて一周見渡してしまうほどの壮大な和の建築に目を奪われ、その場に少し立ちつくしていました。
    ネジ巻き付きの振り子時計、障子窓。
    決して派手な装いは無く、装飾品もどこか懐かしく、物静かにそこにありました。

    日本民芸館

    この日は、『新作工芸公募展』の最終日。
    伝統的な技術を継承してつくられている手仕事の品と、民藝の美を指針とする個人作家の品を全国から公募し、審査され、入選・準入選の品が選ばれます。

    どの品も派手ではなく、どちらかと言えば素朴ですが、郷土の特徴が表れ、使い勝手が良さそうで、きれいに陳列されてはいるものの通常の美術館とは違い、手に触れて気にいった物を購入できるという仕組みになっています。

    そして驚かされたのが、その価格。
    決して高くはなく、気軽に購入することができます。

    民藝品とは、一般民衆の生活の中から生まれた、素朴で郷土色の強い実用的な工芸と定義づけられています。
    上記定義からすると、一般民衆が使う以上のものになっては、民藝品とは呼べなくなってしまいます。
    そのため、芸術品としてではなく、多くの人たちが日常的に使えるよう、飽きないデザインで低価格でなくてはなりません。

    しかし、どの品も力強く美しい。
    素朴であるがゆえに、料理を際立たせる、そんな名脇役となります。

    日常生活器具類に美的な価値を見出した柳宗悦に敬意を抱き、奥深い民藝の世界に心魅せられました。

    日本民藝館

    東京都目黒区駒場4丁目3−33
    http://www.mingeikan.or.jp/